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総理府統計局「話題の数字」から・その2

前回に続き、総理府統計局ホームページの新コーナー「話題の数字」から。

「話題の数字」の第1回を飾った“数字”は「2兆2724億円」。この数字は2012年度の日本の技術貿易収支額であり、前年度と比べ15.3%増加し、過去最高を記録したという記事でした。

さて、皆さんはこの技術貿易収支という言葉はご存知だったでしょうか。技術貿易とは、特許料など、知的財産権の使用料などについての国際取引のことです。2012年に日本企業が技術輸出によって受け取った2兆7210億円から、技術輸入によって支払った4486億円を差し引いた額(輸出-輸入)が、この「2兆2724億円」という数字です。日本は、1993年以降、20年連続で黒字となっています。

技術貿易収支は、その国の企業の技術力や競争力を把握するため指標の一つとなります。技術貿易収支の国別順位を見てみましょう。

第1位はアメリカ合衆国で354億ドル、第2位が日本で247億ドル(これが2兆2724億円)、第3位が英国で220億ドル、第4位がドイツで80億ドルとなっています。長年、アメリカ、イギリス、日本という順番でしたが、2010年に日本がイギリスを抜いて2位に浮上しました。

技術貿易収支といっても、為替相場の変動もあってピンとこないとおっしゃる方もいらっしゃると思います。

そこで別のデータになりますが、トムソン・ロイターという会社が発表した「Top 100 グローバル・イノベーター 2013」の結果をご紹介しましょう。
このランキングは、各企業が保有する特許データを基に知財・特許動向を分析し、世界の革新的企業100社を選出したものです。

日本企業は100社中28社を占め、国別では米国に次いで2位となりました。日本以外のアジア勢では韓国3社、台湾1社が入りましたが、知財という分野では日本が依然として優位性を保っていることが分かると思います。

中国はどうでしょうか?
2011年末時点で中国国内で登録されている特許69万件のうち日本は15万件、約4分の1を占めているそうです。また、アメリカやイギリス、ドイツなどの国々も同様に中国での特許を持っています。中国の企業がモノを作り、国内外が販売すると、特許料などが海外へ出て行くのです。そこが中国の悩みということになります。

韓国もまた、長年、自前の技術開発よりも、特許権を買って再加工することを優先させてきたため、技術貿易収支では赤字が常態化しており、黒字化する目処はなかなか立っていないようです。

技術貿易収支を通じて、改めて知財の大切を感じるとともに、日本企業もなかなかやるじゃん!と心強く感じ、少しほっとしました。

(by インディーロム 渡邉修也)

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