統計・世論調査を読む
「ISSP国際比較調査」から・その2
年末最後のメルマガで「ISSP国際比較調査」に関する「放送研究と調査」の記事の概要をご紹介しましたが、今回はその続きです。
日本では、この10~15年の間に格差と貧困が確実に拡大してます。格差を表す指標であるジニ係数は、2000年の0.432から2009年には0.488へ拡大。国民を所得順に並べ、中央値の半分に満たない人の割合を示した相対的貧困率も2000年の15.3%から、2009年には16.0%へ拡大しています。
まあ、こんな数字がコンマ何ポイント増えた減ったと言っても、統計のプロじゃない限り大半の人はピンと来ないと思います。
この調査で「やはりそうか」と思われるところは、自分が属している階層を10段階でたずた質問です。
自分が生まれ育った階層が、1~5段階の下位層に位置しており、現在も同様に下位層に属しているという答えた人は、日本では82%を占めています。
ウクライナが94%で下位固定の傾向が強く、次いでフィリピン、トルコ、チリ、ブルガリアと続くのですが、日本は調査国中、南アフリカ、アルゼンチンの続いて16番目に位置しており、世代をまたいだ階層の固定化(もしくは自覚化)が進んでいることがうかがえます。
また、階層間の移動傾向については、自分が育った家庭より現在の位置づけが「下がった」と考えている人は日本は31%で、調査41か国中8番目に多くなっており、より下方向へのシフトが顕著になっています。
自分の仕事に対する評価では、15歳の頃の父親の仕事と、現在の自分の仕事の社会的は位置づけをたずねる質問では、日本では「父親より低い」という回答が36%を占め、調査41か国で1番多く、2番目以降のポーランド28%、オーストリア27%、フランス26%をおきざりにして、ダントツに高い数字となってしまいました。これも下流シフトの露骨な表れです。
父親世代が日本の高度成長期であったのに対し、調査対象となった世代の多くが失われた20年間に属することが、こうした数字を生み出す背景になっていることは事実です。多くの日本人のここ10~15年の自信喪失と実際の経済状況を反映していると見てよいでしょう。
年明け早々から重い話で申し訳ございませんが、これは事実だと思います。現実を目をそらさず、失われた自信をいかに回復するかが、働く世代にある私たちに課せられた使命です。
次の調査で、こららの数字が好転するように、日々意識を高くもっていきたいものです。というわけで、今年もどうぞよろしくお願い致します!
(by インディーロム 渡邉修也)