統計・世論調査を読む
「ジェロントロジーって知ってますか?」
総務省は今年9月15日時点での65歳以上の高齢者人口の推計値を3,186万人と発表。総人口1億2726万人に占める割合が25.0%に達し、4人に1人が高齢者となったと発表しました。
こうした高齢社会の話をする際に、ほぼセットで語られるのが「生産年齢人口」です。つまり、いったい全体何人で、高齢者一人を支えるのかということです。
生産年齢人口については、上記のデータとは別に、国立社会保障・人口問題研究所が推計値として発表しており、今年2013年には、生産年齢人口ははじめて8,000万人を割り込むそうです。
8,000万人割る、3,186万人は、2.51人。
このメルマガを読んでいらっしゃる方の大半は、生産年齢人口に属していると思われますが、2.51人という数字を改めてつきつけられると、「無理です、絶対無理です」と叫びたくなりますね。しかも、これからもっともっと負担は増加する一方なわけです。
こうした数字を見ると、外国からの移民の受け入れも真剣かつ早急に進めていかなければならないとは思いますが、単一民族幻想のある日本の社会では抵抗感もあり、なかなか議論が進まないことが予想されます。現実的な選択肢としては、65歳以上の方々でも、働ける方には働いていただこうという発想です。
で、ジェロントロジー。老年学あるいは加齢学と訳されることが多く、日本においては、東京大学高齢社会総合研究機構や桜美林大学大学院老年学研究科など、まだまだ専門で取り組んでいるところは少ない状況です。(ちなみにジェロントロジー先進国の米国では、300以上の大学・研究機関で学ぶことができるそうです。)
ジェロントロジー自体は、もちろん、高齢者にももっと働いてもらおうといった即物的な話ではなく、広く「老い」とは何か、高齢者の抱える問題、そして、高齢者を支えていく社会の課題について、医学・心理学・社会学・経済学などあらゆる学問が協働して、研究し解決策を探っていこうとするものです。
この連載は、アンケートを切り口に、調査・マーケティング活動について広く取り上げていますが、人口動態は、全ての調査及びマーケティングのベースとなるものです。また、高齢社会は、これからの企業活動の多くの局面で必ず意識していかなければならないキーワードであり課題です。
知っていた人も知らなかった人も、ジェロントロジーという言葉にもっと注目してみていただきたいと思います。
(by インディーロム 渡邉修也)