統計・世論調査を読む
「世論調査にみるオリンピック東京決定の影響度」
2020年オリンピックの開催地が東京に決定して間もない先週末、報道各社は東京に決定したことについて世論調査を行いました。
開催地が「東京」に決定したことについては、「良かった」と思う人は83%(読売新聞)、「良かったと思う」68%(毎日新聞)、「良かったと思う」86.7%(産経・FNN世論調査)など、概ね東京開催を歓迎する結果となりました。決定の瞬間のあの興奮状態からまだ日が浅いため当然の結果かと思います。
招致決定と連動して5月以降低下を続けていた安倍内閣の支持率も再び上昇しているようです。
読売新聞の場合、前回8月調査の63%から今回67%へ上昇。共同通信社でも61.8%と前月の57.7%から4.1ポイント上昇しています。
NHKの調査は59%でしたが、この調査は、9月6日(金)~8日(日)の3日間で、6、7日の時点では、まだ開催地が決まっていなかった段階の数字と、決まった直後の数字が混じったものなので、10月上旬のNHK調査の数字を注目してみたいと思います。
各調査では、平成26年4月からの消費税率の8%への引き上げについても質問していますが、これについては各社各様の報道の仕方をしていますね。
産経・FNN世論調査では、「予定通り実施すべきだ」(33.4%)という回答が、これまで主流だった「1%ずつなど段階的に引き上げるべきだ」(26.6%)や「5%から引き上げるべきではない」(22.2%)などを上回り、トップに踊り出たという書き方をしています。
一方、共同通信社では、予定通り来年4月に8%へ引き上げることについては、「反対」50.0%、「賛成」46.8と反対が上回ったと伝えています。
はい。皆さんお気づきですね。産経・FNN世論調査でも、慎重派の意見を足すと48.8%となり、共同通信社に近い数字になってしまうのです。
繰り返しこのコラムでお伝えしているように、見出しだけで判断しないようにしたいものです。
読売新聞の伝え方は、消費税の引き上げそのものに対する賛成、反対を前面には出さず、8%に引き上げられた場合、家計の支出をどうするかという問いの立て方をしています。それによると、今よりも「減らそうと思う」と答えた人は56%で、「そうは思わない」の40%を上回ったようです。
内閣支持率や株価は短い期間の情勢の変化を反映するものなので、招致決定の勢いそのままにアップしているようですが、こと消費ということになると、一般庶民は、オリンピック東京開催というだけでは、すぐに財布の紐が緩くなることはないようです。
いずれにせよ開催まであと7年。実際の仕事の中でも、五輪関連の案件が増えてくると思います。波をうまく捉えてまいりましょう。
もちろん、東北の復興や福島の原発事故のことも忘れてはなりません。
それらがしっかり遂行されずしてオリンピックの成功はあり得ないからです。
(by インディーロム 渡邉修也)