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「今さら聞けないビッグデータ(3)」

前回、前々回とビッグデータのアウトラインを紹介してきましたが、今回は今後、ビッグデータがどんな分野で活用され、それがどのような変化をもたらし得るのか、簡単にまとめて締め括ろうかと思います。

大きな可能性を秘めているビッグデータですが、当面は下記の3種のデータについての活用法を模索してことになります。

1)ICカード等から得られる構造化されたデータ
2)SNSに投稿される非構造化データ
3)GPSや、機械や製品に付けられた無線ICチップ等から発信されるデータ

1)については、クレジットカード、各種ICカードなど、比較的整理された状態でデータベース化されたもので、集計・分析・加工が楽なため、昔から企業内でマーケティング用の基礎データとしては活用されていたものです。
今後は、データから個人情報を捨象したものを、付加価値データとして、外部へ提供していくことになります。
ソニーでは、Suicaやナナコにも採用されている非接触ICカードの「Felica」を応用して、ビックデータビジネスに乗り出しています。川崎市の薬局200~300店で利用される「電子お薬手帳」のICカードから得られる調剤履歴や副作用などのビッグデータを、製薬会社や医療機関、自治体などに提供することで、医薬品の開発や副作用情報の収集に役立ていくそうです。

2)については、7月に行われた参院選の報道でも、盛んにNHKがビッグデータ、ビックデータと連発しておりましたね。今回、NHKが報道で使ったのは、NTTデータが提供したものですが、内容は選挙期間中に、Twitterでつぶやかれたデータから、政党名、候補者名、選挙の争点となりそうな改憲、消費税などのキーワードを拾って、どのワードが多くつぶやかれていたかというものです。

実際に、NHKがテレビで使ったのは、膨大なデータのごくごく表層の部分であり、ビッグデータといっても、なんだこんなものかと、がっかりされた方も多かったのではないでしょうか。個人的には、Twitterだけなく、Facebook、LINE、YouTubeなど、SNSごとの投稿の傾向分析まで踏み込んでもらいたかったです。

3)については、先に発表された平成25年版の情報通信白書でも、RFIDデータやGPSデータが、今後、産業をあり方を変え、社会を変えていく可能性を示唆しています。
カーナビなどのデータを活用することで渋滞が減少して燃費が向上すると1兆4300億円の効果。無線ICチップなどで、産業用機械の不調を事前に察知することで、4兆7900億円の経済効果があると試算しています。(ホントかな?)

ま、最大限活用されれば、という括弧つきの試算なので、そこは突っ込まないでおきましょう。

実際、日本アパレル業界では、2013年は、RFID元年とも言われているようです。
先程から、RFIDという単語に引っかかっていた方に説明しますと、Radio Frequency Identificationの略だそうで。ようするに、無線ICチップを埋め込んだ商品タグのことです。

専用の読み取り機で、複数の商品からいっきに商品の色・サイズ・価格などの情報を読みとることができるため、棚卸・検品などのバックヤード業務が劇的に変わる可能性を秘めているそうです。なんでも、これまで25,000枚の在庫に対し2~3日かけて行っていた検品作業が、RFIDタグ導入により、わずか2時間半で終了したという実証実験データもあるそうで。

このように、RFIDタグが広まっていけば、単に検品作業が楽になるだけでなく、RFIDタグから収集・分析されるデータが、マーケティングにも活用され、ロス率の低下、ヒット率の向上など、目に見えた成果が出てくることでしょう。

情報通信白書が描く、日本の元気と成長戦略。ちょっとこじつけも目立ちますが、各分野で上記のような取り組みが進めば、日本の活路が見いだせるかもしれません。なんてったって、セブン-イレブンに代表されるように、データを読み解き、微かな変化をビジネスにつなげていくセンスと能力はピカ一だと思いますので。

(by インディーロム 渡邉修也)

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