統計・世論調査を読む
「中高年者縦断調査」から・その2
今回は、前々回に書きかけていた「中高年者縦断調査」の続きをお届けします。
この調査ですが、どんな年齢層の方々が対象となっているのか、もう一度確認しておきますと、調査が開始された2006年10月末時点「50~59歳」であった方々、最新の2012年の段階で「56~65歳」になられた方々です。
一番上の65歳の方が生まれたのは1947年、一番下の56歳の方は1956年生まれになります。
「団塊の世代」は、一般に1947年~1949年(5才刻みで大雑把に括る場合は1951年まで)になりますので、この「中高年縦断調査」の上半分は「団塊の世代」、下半分は「ポスト団塊世代」が、調査対象ということになります。
ちなみに、厚生労働省では、2000年代に入って3つの縦断調査を開始し、今も継続しています。1つは、この「中高年者縦断調査」、もう1つはその子ども世代である「団塊ジュニア」層を追跡する「21世紀成年者縦断調査」、3つ目は団塊・ポスト団塊世代の孫世代を追跡する「21世紀出生児縦断調査」になります。
マーケティングの世界では、以前から人口のボリュームゾーンである、団塊の世代、団塊ジュニア層の動向を重視する傾向がありましたが、この3つの縦断調査は今後もマーケティングの基礎資料となるものなので、皆さんも覚えておいてください。
話しを「中高年者縦断調査」に戻すと、「56~65歳」になった団塊・ポスト団塊世代が、現在直面しているのは、「夫婦二人になる」ことのようです。
第1回調査 第6回調査 増減
(2006年) (2012年)
・夫婦のみの世帯 21.0% 32.0% 11.0%増
・三世代世帯 22.7% 17.1% 5.6%減
・親なし子あり世帯 39.0% 31.0% 8.0%減
上の数字の通り、6年前と比べ、「夫婦のみの世帯」は11.0%増、対して「三世代世帯」(親と子と同居、または、子と孫と同居)は5.6%減、「親なし子あり世帯」も8.0%減となっています。
これは、ある意味、当たり前のことで、この年齢になると、親が鬼籍に入り、子どもが独立していくわけです。
親と子と三世代が同居していて5~8人位いた家族の場合、5~6年の間に、親がなくなり、子どもが独立して、一挙に二人だけなったという世帯もあるでしょう。
そして、会社務めしていた人は、定年や早期退職で、会社という「共同体」からも切り離される人もいるわけで、一挙に状況が変わることもあるわけです。
「夫婦二人」になった団塊・ポスト団塊世代が、ハッピーなシニア・ライフを描いていけるかどうか。彼らに対して(あるいは彼ら自身が)、新しい商品・サービスを創出していけるかどうかが、私たちのビジネスにおける課題となります。
ちなみに、「三世代世帯」は全体として減少していますが、「子と孫と同居」する三世代世帯は、実はこの6年間に、3.2%から6.0%に増えています。
リーマン・ショック以降の不況で、親との同居を選択した団塊ジュニアが増えたこともありますが、「孫と仲良し」で「孫への教育資金贈与」にも積極的な団塊・ポスト団塊世代の性向は、特に注目すべきポイントで、1つの手がかりになりそうです。
(by インディーロム 渡邉修也)