統計・世論調査を読む
「21世紀成年者縦断調査」から・その2
前回は、締切に間に合わず、この連載に穴をあけてしまいました。読者の皆さん、関係者の皆さん、申し訳ございませんでした。
今回は、前々回のメルマガで紹介途中だった「21世紀成年者縦断調査」の続きをお届けます。
まずは、調査開始時の10年前(平成14年)の時点で、「独身者」だった「男性」で、かつ、10年もの間、この調査に協力し続けた2,703名の男性の方々の貴重なデータです。
最新版(平成23年10月末)の時点で、2,703名の男性の内、39.0%の1,055人が「結婚した」と回答しています。10年にわたる調査ですから「した」という言葉には、「現在も結婚中の人」、「既に離婚した人」、「離婚して再婚した人」、「離婚して再再婚まで・・・」と様々な「結婚した」が全部含まれています。
調査では、就業状況も質問しているので、上記の「結婚した」を、正規雇用/非正規雇用別に見てみると、「正規雇用(会社役員、自営業含む)」で83.5%を占め、「非正規雇用」5.7%、「仕事なし」2.2%であり、男性の結婚における正規/非正規の雇用形態は、結婚に大きくかかわっていると見てもよいと思います。
10年間に4割が「結婚した」わけですが、この調査の場合、調査協力者(=回答者)の収入の多寡、仕事のあるなしはさておき、消息が追跡でき、少なくとも調査票が自宅に届くような比較的安定的な生活を送っている人たちにおける調査結果であると見た方がよい思いますので、実際の「結婚した」率はもっと低いということなのでしょう。
参考までに、内閣府が平成22年秋に実施した「結婚・家族形成に関する意識調査」を見てみると、30歳代の男性の「既婚率」は、年収が「300万~400万円未満」で26.5%、「400万~500万円未満」で29.4%と年収が増えていくほど、既婚率が高まっていく一方、年収「300万円未満」になると9.3%に目立って低下、非正規雇用者になると5.6%という状況です。
子どもを産んで育てるのに、結婚や収入の安定は必須条件ではありませんが、それでも、重要なファクターであることは事実です。この調査は、この10年間の動きを切り出したものですが、今後の10年間、またその次の10年はどうなるのか。少子高齢化に歯止めをかけるには、この国を再生していくにはどうしたらよいのか。調査結果を見ながら考えて込んでしまいました。
次回は、同じ調査から女性の結婚、子育て状況、就労状況などを見ていきたいと思います。
(by インディーロム 渡邉修也)