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アンケート再入門 
「第19回 GT集計とクロス集計・その2」

前回は、GT集計を中心に書きましたが、今回は、クロス集計について。

この連載に最初の頃に、クロス集計について、書いたことがありますので、今回は、それを再掲します。

「クロス集計」とは、何でしょうか?

データ集計において、1つの属性(性別など)に注目して回答件数を数えることを「単純集計(GT集計 [Grand Total])」と呼びます。
対して、性別×年代別、性別×地域別など、2つ以上の属性を用いて集計することを「クロス集計」と呼んでいます。

それでは、なぜクロス集計を行うのでしょうか?

それは、単純集計が、その名の通り、アンケートの単純な結果であるのに対し、クロス集計は、そのような結果になった要因を分析するための手掛かりを与えてくれるからです。

次のような、とある地方都市の選挙結果を例に考えてみましょう。

<選挙結果>

A候補の得票数   50,000票
B候補の得票数   40,000票

これは「候補者別」の得票数をカウントしただけの単純なデータ、つまり「単純集計」になります。つまり選挙の結果だけを知りたければ、単純集計で済むわけです。

結果は、A候補が、B候補に1万票の差をつけての当選ということになります。

<クロス集計>
 ※括弧内は、男女別の得票数内訳
┌───┬─────┬─────┐
│   │ 都市部 │ 農村部 │
├───┼─────┼─────┤
│A候補│ 20,000票│ 30,000票│
│   │(男18,000)│(男29,000)│
│   │(女 2,000)│(女 1,000)│
├───┼─────┼─────┤
│B候補│ 30,000票│ 10,000票│
│   │(男14,000)│(男 4,000)│
│   │(女16,000)│(女 6,000)│
└───┴─────┴─────┘

上表は、「候補者別」×「都市部/農村部別」×「性別」の3項目で、クロス集計したものです。

いかがですか?
少し極端な例ですが、単純集計とクロス集計の違いは明らかです。

単純集計では、単に「A候補の得票数が多かった」という結果しか見えてきませんが、都市部/農村部、男/女という、2つの属性を追加して、クロス集計することで、都市部に限ってみると、むしろB候補の方が得票数が多く、しかも女性票を多く獲得していることが見えてきます。

これによって、B候補陣営は、次回の選挙は農村部へのくい込みに成功すれば、当選も射程圏内にあることが分かります。

一方、A候補陣営にとっては、都市部の票の獲得、とりわけ女性票の掘り起こしに着手しないと、次回の選挙は危ういということが分かります。

クロス集計したことで、それぞれの陣営に、明確な目標が見つかったわけです。

候補者を、A商品とB商品と置き換えてみれば、ほら、あなたの会社の商品やサービスの強みと弱みの分析、そして、目標設定にすぐに使えそうですね。

次回は、複数選択肢の集計について、検討してみたいと思います。

<“アンケートメーカー”ご案内サイト>
http://enqmaker.jp/

(by インディーロム 渡邉修也)

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