アンケート再入門
「第11回 回答者プロフィールの質問を考えてみよう」
前回は、質問の内容が、結果に与える影響について、マスコミ各社の消費税引き上げに関する世論調査を例に検討してみました。
今回は、私たちが、実際にアンケートの質問項目を作ってみる中で、留意すべき点を、1つ1つ拾っていきながら、検討をすすめたいと思います。
まずは、回答者プロフィール(=属性)に関する質問について、考えてみましょう。
第一に考えるべきは、個人を特定するような項目を入れるか、入れないかということです。
これは、アンケートの目的によって決められます。
顧客の意向を訊いてリスト化したいという、営業資料の取りまとめが目的である場合は、社名や個人名、メールアドレスなどを盛り込んでおけば、それは即、営業リストになることでしょう。
ですが、新商品の受容可能性を探りたいといったマーケティング・リサーチや、社内でのパワハラ・セクハラの実態を把握したいという調査、そして、世論調査などについては、極力、個人情報は入れない方がよいとされています。
アンケートに回答することによって、何か自分に不利益なことが起こるかもしれないという警戒心、例えば、営業の電話がかかってくるかもしれない、会社で不利な立場に追い込まれるかもしれないといったことが、回答者の回答をくぐもらせ、濁らせるからです。
また、回答者プロフィールの質問を、アンケートの冒頭に置くか、最後に置くかということも重要です。
定石では、個人情報に関わる質問項目の有無にかかわらず、最後に置くべきということなっています。
これは、冒頭に置くこと自体が回答行動を濁らせるという考えもありますが、もう1つには、回答者プロフィールの質問がだらだらと続くようだと、本論に入る前に回答者が飽きてしまい、アンケートの途中放棄率が高まってしまうからだと言われています。
まあ、そうかなとも思います。
ですが、個人を特定するような項目が入っていない場合で、回答者プロフィールの項目が比較的少ない場合には、あえて冒頭に置くことで、安心させてあげた方が、むしろ本音を引き出しやすいかもしれません。そのあたりの案配については、皆さんもよく検討してみてください。
また、もう1つのやり方として、冒頭には、個人情報を除外したものだけを並べておき、本問の質問がひと通り終わった後に、追加質問として配置することもできます。
よくあるケースとしては、本問の質問が終わった後に、「今後メールマガジンの配信をしてもよいですか」という択一式の質問と、「配信してもよいと答えた人は、メールアドレスをご記入ください」という入力枠を用意するものです。
同じメールアドレスを入力してもらうのでも、こちらの方が、回答者自らの意思で選択し、メールアドレスを入力していただくわけなので、抵抗感は少なくなります。
こうしたちょっとしたひと工夫が、答えやすいアンケートと答えにくいアンケートとの分かれ目になります。
次回は、本問のアンケートの組み立てについて検討していきたいと思います。
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(by インディーロム 渡邉修也)