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H2Hマーケティング実践編 
「合理的配慮の準備できてますか?・その6:
障害の「社会モデル」とは」

障害者差別解消法は、障害の「社会モデル」という概念に基づき作られたものです。

分かりやすい例として、足に障害をお持ちで、車椅子を利用している方の場合を考えてみましょう。

車椅子の方が利用しようする施設の「環境」が整備されていて、施設内の段差があるところにはスロープが設けられており、エレベータもあり、多目的トイレも用意されている等の配慮がある施設は、安心してその施設を利用できると思われます。

一方、スロープもなく、エレベータも多目的トイレもない場合は、車椅子の方は、その施設の利用を断念してしまうか、介助者の同行など余計な負担をしなければ利用が難しいことになります。

前者の施設は障壁がなく安心して利用することができるのに、後者の施設は障壁が多く利用するためのハードルがとても高く感じられる。

車椅子の方自身は何も変化がない訳ですが、施設側の環境整備状況によって利用できる権利が阻害される場合がある。これが「社会的障壁」ということになります。

障害者差別解消法は、こうした「社会的障壁」によって、本来であれば利用できるはずなのに、それが阻害されている状態を解消していこうするものであり、「社会モデル」に基づく内容と言われる理由です。

「社会的障壁」は、施設等の物理的障壁だけではありません。人と人とのコミュニケーションでも発生します。

「保護者や介助者が一緒にいないとお店に入れてもらえない」、「受付の対応を拒否する」、「本人を無視して介助者や、支援者、付き添いの人だけに話しかける」、「賃貸物件の入居を拒否する」、「各種手続きの際、当事者の了解なしに、介助者に代筆を求める」など。なかには「知的障害者がコンビニの店内を動き回ったところ、不審者扱いされ通報された」なんてケースもあります。

これらは全て「不当な差別的取扱い」となります。サービスを享受する権利というだけでなく、人間の尊厳にも関わる問題でもあります。

対応する側ではたまたま来た一人のお客様であったとしても、当事者および家族・関係者にとっては、尊厳を傷つけられる対応であり、嫌な思い出として心に刻まれ、長く留まり続けるのではないでしょうか。

教育研修の際には、上記のような具体的事例を紹介しつつ、「見た目で一方的に判断しないこと」、「当事者の意思や希望を確認すること」などを徹底していく必要があります。

一方、合理的配慮の好ましい対応としては、「視覚障害者の方と、書類への記入が必要な事務手続きの場合などに、代筆を申し出る(※書類作成上問題がない場合)」、「本人の意思を確認して、本人の望むやり方で介助する」等の対応です。

いずれも「サービスを享受する権利」、「人間の尊厳」という原則が充分に理解できており、それが普段の行動に反映できるか、ということが大切になります。

(by インディーロム 渡邉修也)

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