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H2Hマーケティング実践編 
「合理的配慮の準備できてますか?・その5:
環境の整備」

障害者差別解消法の3つの柱、最後は「環境の整備」です。

「環境の整備」とは、個々のシーン、個々の障害者の状況や要望に対して、合理的配慮を的確に行えるようにするための事前の改善措置のことです。

例えば、多目的トイレの設置、段差をなくす等の施設面の整備・改善のほか、紙の配布物に音声読み上げ機能用のバーコードを付加する、対応マニュアル、教育研修、担当部署を作り改善のPDCAサイクル態勢を整える等です。

「環境の整備」と「合理的配慮の提供」の違いは何でしょうか?

「環境の整備」は、不特定多数向けに設備、組織、人員等の対応体制を事前に準備していくことになります。対して「合理的配慮の提供」は、個々のシーン、個々の障害者の状態・状況に応じて個別に対応をしていくこと、という違いがあります。

では、対応マニュアルや研修はどのようにしたらよいでしょうか?

いきなり抽象的な概念を説明してもイメージがしづらいと思われますので、説明の流れとしては、最初は、具体的なシーンを設定し、ストーリーとしてかみ砕いた解説がある程度必要になってくると思われます。

ただし、障害を持った人は、見た目に分かりやすい車椅子の方や白杖を持った方とは限りませんので、Aの場合はこう、Bの場合はこう、というような羅列型のマニュアルや研修では際限がなく収拾がつかなくなりそうです・・・。

どうしたものでしょうか? 羅列型では際限がなくなりますので、やはり障害者差別解消法の理念や、そもそも「障害」とはどういうことなのか、大枠の概念を理解してもらうことが大切です。

大枠の理解に有効だと思われるのが、障害の概念に関する「医学モデル」と「社会モデル」という2つの違いです。

「医学モデル」の障害とは、医学的な心身の機能の障害を指すものです。

一方、「社会モデル」でいうところの障害とは、社会における様々な “障壁”(社会的障壁)によって生じるもの、という捉え方です。

入口に段差のあるお店に入れないのを、車椅子に乗っているからという当事者側に原因を求める(医学的モデル)のではなく、入口に段差という「障壁」があることが原因ではないか(社会的モデル)、という視点の切り替えを行いましょう、ということです。

障害者差別解消法は、「医学モデル」ではなく、「社会モデル」の採り入れたものになります。(※「社会モデル」は、国連の障害者権利条約で採用されており世界の潮流になっています。)

マニュアル作成や研修をやる場合には、まずはこの社会モデルの解説と理解からスタートするのがよいのではないでしょうか。

(by インディーロム 渡邉修也)

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