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マーケティング再入門 
「H2Hマーケティングとは・その42:
ナウ・エコノミーとオムニチャネル管理」

コトラーは「どこで何を買いたいかを決めるのは企業ではなく顧客なのだ」とし、企業はチャネルのアーキテクチャを顧客の希望に沿って柔軟に設計することが求められるため、デジタルプラットフォームの改善と管理の重要性は益々高まっているとしています。

ナウ・エコノミーとは、SNSなどの口コミで知った商品やサービスなどに、顧客が即時に反応し、数分後には注文完了し、商品が到着する前に既に精神的に充足するような消費者行動を表すものです。

クラウドファンディングは、SNSなどを通じて訪れた人(閲覧者)が、活動・理念などに共感した瞬間を捉え、共感の感情がフレッシュうちに(気が変わらないうちに)、その場で(カードやポイントなどを使って)寄付や支援を得るという仕組みを作ったわけで、考えた人は凄いなと思います。

顧客が「買いたい」と思った時に、「即時に購入」できるようにするためには、オムニチャネル統合が必要となります。コトラーは、H2Hマーティングにおけるオムニチャネル管理について以下のように定義しています。

「オムニチャネル管理は、利用可能な全てのコミュニケーション及び販売チャネルを相互接続し、顧客とベンダー双方で同時に複数のチャネルを活用できるようにする。戦略の中心にいるのは顧客であり、彼らは購入プロセスを積極的に管理し、透明性やデータ統合を完全コントロールできる」

コトラーによると、この定義はマルチチャネルとオムニチャネルの違いも表現しているそうです。

マルチチャネル・リテイリングとは、リアル店舗とECサイトという異なる販売チャネルで商品を購入できるものの、チャネル間の統合はされておらず、各チャネルでのコミュニケーションや取引はあくまで企業主導のインサイドアウト(企業側から外部へ働きかけ)のマインドに留まるものです。

一方、オムニチャネルは人間(顧客)を中心に据え、人間を能力のある個人としてゲームの主導権を握らせ、カスタマージャーニーのどこをいつ通過するかを決定させるアウトサイドインの理念に従ったものである、ということです。

機能的なオムニチャネル統合を図るにはオンラインとオフラインの世界を常に統合するホリスティックなブランドマネジメントが大前提となります。コトラーは「オンラインかオフラインがという二元論ではなく、顧客が今日すで採用しているノーラインな考え方、すなわち二つを区別しないマインドが必要となる」としています。

そしてオムニチャネル戦略の実行に際しては、カスタマージャーニー全体の評価が必須になり、特に以下の3つの「真実の瞬間」の評価と検証が重要になるそうです。

  • 0番目の真実(Zero Moment of Truth / ZMOT):レポート、推奨、動画に基づいたブランドへの期待を込めた第一印象を得る瞬間
  • 1番目の真実(First Moment of Truth / FMOT):広告等を通じて既に期待値が形成された商品やサービスと初めて直接接点を持ち、現実と期待が比較検証される瞬間
  • 2番目の真実(Second Moment of Truth / SMOT):顧客が商品を実際に使用した後に、ブランドが約束した価値が実際に提供されているか試される

コトラーは、企業が間接的な影響しか及ぼせないZMOTが特に重要で「レビュー・評価管理(Review and Rating Management / RRM)」を導入し、いいね、レビュー、シェア、コメントなどの情報を収集・分析し、改善していくことを推奨しています。

(by インディーロム 渡邉修也)

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