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マーケティング再入門 
「H2Hマーケティングとは・その32:
ファルチのマーケティングミックス 5Eモデル」

前回は、マーケティングミックスのフレームワークの変遷を大まかに振り返ってみました。改めて感じたのは、マッカーシーの4P(Product, Price, Place, Promotion)は、今の時代にあっても、やはり基本中の基本であり、それらを無視しては何も始まらないということです。

マーケティングミックスの変遷は、プロダクトアウトのマーケティング1.0から、マーケットインのマーケティング2.0、そして顧客との共創・協働を目指すマーケティング3.0/4.0という変化に対応したものです。

マーケットイン時代の完成形に近いとされているのが、デヴとシュルツによるSIVAモデルです。SIVAとは、Solution(ソリューション)、Information(情報)、Value(価値)、Access(アクセス)の4つで、プロダクトアウトの4Pとの対応関係は以下のようになります。

  [4Pモデル]       [SIVAモデル]

  • Product (商品) → Solution(ソリューション)
  • Promotion (販促) → Information(情報)
  • Price (価格) → Value(価値)
  • Place (場所) → Access(アクセス)

SIVAモデルについてデヴとシュルツは「商品だけでなく、ソリューションも開発・管理すること。単なる販促だけでなく、情報を提供すること。価格に固執せず、価値を創造すること。商品プレイスメントだけを考えるのではなく、顧客が自社のソリューションを経験したい時にいつでもどこでもどのようにでもアクセスできるようにすること」と説明しています。

また「SIVAモデルは、顧客に関する深く価値ある洞察の収集から始める。顧客の観点から、自社の資源を使ってバリュープロポジションを創出できるか、できるならどうやるかを決めるもの」で、従来の4Pミックスと対をなし、「市場ニーズを実行可能な事業活動に変換することを促すもの」だとしています。

そして、コトラーが、H2Hマーケティング時代の最新のマーケティングミックスとして紹介しているが、ファルチの5Eになります。

<ファルチのマーケティングミックス 5Eモデル>

  • Engage(ブランドの信頼関係構築)
  • Expand(価値の拡張)
  • Evolve(ソリューションの進化)
  • Extend(チャネルの増加)
  • Exchange(知の交換)

従来の4Pモデル、SIVAモデルとの一番の違いは、他モデルでは商品の二次的要素に過ぎなかった「ブランド」が一つの独立した要素になっていることです。

また、5Eのもう一つの特徴は、従来のマーケティングミックスが既にある資源や顧客との関係をベースとした静的理解であるの対して、「5Eは、ダイナミックな性質を有し、さらに未来志向で、デジタルトランスフォーメーションやインバウンドマーケティングの要件が加味され、ブランドが統合された結果、概念的にも動的なモデルなった」ということです。

これだけでは、なんのことか?と思われるかもしれませんが、このH2Hマーケティングに関する連載の中でご紹介してきた、デジタライゼーション、S-DL的発想と実践、ブランド・プロミス、レピュテーション・マネジメント(評判の管理)、ブランド・ミーニング(ブランドの意味)などを思い出しつつ、上記5つのEの意味を考えていただけるとイメージしやすいかと思います。

(by インディーロム 渡邉修也)

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