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マーケティング再入門 
「H2Hマーケティングとは・その29:
ブランドマネジメントのボトルネック解消法とは」

ブランドマネジメントにおいて、認知(Aware)から推奨(Advocate)へ進む過程でボトルネックが生じる場合があります。コトラーはそうした場合の解消法を紹介しています。

<ブランドの魅力を増強する>
コトラーは、S-DLの考え方に従い、顧客をマインドとハートとスピリットを持った「対等の友人」として扱うべきだとし、そのためにはブランド側も、現在の社会・政治・環境・経済問題への立場を明確にすべきだと言っています。

また、差別化にも注力する必要があり、「差別化が大胆で、斬新で、型破りであればあるほど、ブランドの魅力は増す」ということです。

<好奇心を最適化する>
好奇心を刺激するには、ブランドの情報を明かしすぎず、神秘化するさじ加減が肝要なようです。コトラーは、適切な手法によるコンテンツマーケティングを実践することで、好奇心を刺激し、最適化することも可能だしています。

<コミットメントを強化する>
適切な情報提供を行い、認知(Aware)→訴求(Appeal)→調査(Ask)へと進んだとしても、なかなか行動(Act)や推奨(Advocate)に結びつかないこともあります。常時接続の現代においては、ブランド側が思い描く一本道の経路ではなく、多様な経路・タッチポイントが存在し、ブランドは顧客と遭遇するたびに都度評価され続けるわけです。

オムニチャネルマーケティングとは、多様なタッチポイントにおいて、顧客にシームレスな体験を提供することを目指すものです。コトラーは、体験(すなわち価値)を提供するにあたって、バリュープロポジション(価値の提案)は、バリューオファー(価値の提示)であるものの、バリュープロミス(価値の約束)ではないことをしっかり理解しなければならないとしています。体験がどのような価値をもつかは、あくまで受益者側がそれぞれ体験したものを、個別に感じ取り評価するものだからです。

<親近感を向上させる>
顧客を一回限りの購入者から推奨者に変わってもらうためには、ブランド側は、通常のタッチポイントを超えた顧客との関わりが必要になってきます。それはソーシャルメディアを通じた交流に加え、なんらの報酬や特典、ロイヤリティプログラムの構築なども有効だということです。

コトラーは、顧客との結びつきについて、S-DLの提唱者であるバーゴとラッシュの「顧客にとって、購入後こそ真実の瞬間なのだ」という一節を紹介し、購入した商品やサービスが、購入前にブランドが提示していた約束事を果たしているがどうかが、顧客がブランドに親近感を持つ/持たないに強く影響すると指摘しています。

以上がボトルネックの解消のヒントとしてコトラーがあげたものになります。すべてS-DLの、顧客との対話によってブランドの価値を共創していくという考え方がベースになっています。

(by インディーロム 渡邉修也)

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