マーケティング再入門 
「2020年を振り返って」

この連載は、マーケティング関連のテーマの中で、都度自分が興味を持った事柄について、主にコトラーの著作からヒントを探し、ノート形式で書き連ねたものです。昨年末からこの年末にかけてのテーマは以下の3つでした。

  • 「新興国マーケティングから日本を考えてみる」(全5回、2019.12.4~2020.2.5)
  • 「包摂を意識したマーケティングとは」(全5回、2020.2.19~2020.4.15)
  • 「アフター・コロナへ向けたマーケティング」(全15回、2020.5.13~2020.12.4)

1つ目の「新興国マーケティングから日本を考えてみる」は、中間層がとりくずされ、経済格差が拡大しつつある日本において、地方や中小・零細企業が、生き残りと発展の道筋を見出していくにはどのような考え方をすべきかという自分なりの課題設定でした。

コトラーの3.0/4.0の著作の中の「新興国・途上国のマーケティング事例」をヒントに、「新興国・途上国」を「地方、中小・零細企業」に、「対外援助」を「地方交付金、助成金・補助金」にそれぞれ置き換え、支援に頼らず、真に自立・持続するためには、コトラーのいう「投資と起業家精神の振興」が必要であると考えました。(※注:今年のような緊急時には、公的支援は不可欠であり、「自助・共助・公助」の発想とは真逆のものです。念のため。)

2月からの「包摂」については、格差問題に加え、今後外国籍の方々が地域社会で共生していくことを想定したもので、社会的に弱い立場にいる人たちを排除(エクスクルージョン)せず、格差の世代間の連鎖をくい止めるための考え方として、「社会的包摂(Social Inclusion)」を取り上げています。

ちなみに「包摂」という言葉は、マルクスの「資本論」の中で上記とは別の意味(subsumption)で使われているそうで、今年注目された本で白井聡「武器としての『資本論』」、斎藤幸平「人新世の『資本論』」で「包摂」というキーワードが出てきます。今後の社会を考える上で参考になる本なので、興味のある方は読んでみるとよいと思います。

後半のアフター・コロナについては、GW明けにこのままじっとしていても状況は好転しないという想いから書き始めたものです。マーケティング的な展望としては、DXやAI化などが進めば進むほど、やはりコトラーのマーケティング3.0/4.0の基本コンセプトの「人間中心のマーケティング」と、企業(ブランド)と生活者との「協働・共創」関係が大切になるだろうということ、また、それを具現化できた企業・ブランドが今後生き残っていくだろうというのが自分なりの結論になります。

最後に、もう一つ付け加えておこうと思うのは「協同労働」というキーワードです。

この12月に国会で「労働者協同組合法」が成立しました。働く人たちが自ら出資し運営に携わる法人です。NPO法人と比べ、認可制ではなく届出制であるため、今後は、介護、保育といったエッシェンシャルワークの領域、農業・漁業などの生産領域などで増えていくと見られていますが、個人的にはフリーランスの編集者、ライター、デザイナーなどの集団の法人化など、クリエイティブな職種にも広がっていくと面白いと思っています。

制度が定着するまで試行錯誤はあると思いますが、新しい働き方をクリエイトすることは夢のある話かもしれません。

(by インディーロム 渡邉修也)

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