マーケティング再入門 
「アフター・コロナへ向けたマーケティング・その8」

接続性が高まった時代のマーケティングは、従来のPAR(購買行動率)重視からBAR(ブランド推奨率)重視へと変化しました。

なぜ、PARからBARへと変わったのでしょうか?

従来のブランドの評価は、実際にそのブランドを購買し(あるいは試供品で)、実際に使用した顧客が決めるものとされ、ロイヤルティについても顧客維持率や再購買率で測られるものとされてきました。

しかしながら、接続性の時代になり、カスタマー・ジャーニーが、AIDAから5Aへ変化したことにより、顧客は必ずしもA→I→D→Aという直線的で漏斗型の絞り込まれ方をして行動(購買)へ至るというものではなくなってきました。

5Aでは、ブランドへの様々なアクセスポイントで、ブランドの情報(評価)を得た後、漏斗型に段階を直線的に進むのではなく、5Aの各ブランドの各アクセスポイントを行きつ戻りつしながら動いていくからであり、場合よっては、自分が買ったことも使ったこともないのに推奨(5A)へ進むことあるわけです。

ブランドの評価は、顧客が購買する以前に、既にネット上で評価がされており、一見、個人的な評価のように見えて、事実上、社会的な決定に近いものになっているとコトラーは指摘しています。

かつてはA1段階のブランド認知率を高めれば、A4段階の行動(購買)を高めることが出来るはずという、PAR(購買行動率)のコンバージョン率アップを目指し、広告に力点を置いたマーケティング投資が行われてきました。

では、BAR(ブランド推奨率)時代のマーケティング投資は、どのように考えていけばよいのでしょうか?

コトラーは、ROE(自己資本利益率)の枠組みを援用して、PARとBARとのマーケティング投資効率について、解説しています。

コトラーは、広告(すなわち、外的影響)が「自己資本」だとすると、デジタル時代の顧客間のカンバセーション(すなわち他者の影響)は「債務」に相当する、と言っています。

そして、ファナンスにおける債務がレバレッジ(てこの作用)をもたらし、自己資本を増やさずに乗数効果を生み出すのと同様に、顧客間のカンバセーションはレバレッジをもたらし、広告に過度に頼らずに大きな成果をもたらすこともできる、としています。

ただし、ROEにおける債務が、好況時には利益を増幅するプラスのレバレッジになる一方、不況時には損失の増幅へと作用するように、顧客間のカンバセーションは、企業側でコントロールができないものなので、それなりのリスクを伴うものであることを理解しておくべきだと指摘しています。

ブランドに関する顧客間のカンバセーションの活性化は、企業にとっては広告投入量を抑え、マーケティング投資の生産性を向上せることができるものの、上記のリスクから、コトラーは、どんなに優良なブランドであっても、顧客間のカンバセーションだけに頼ってはならず、自己投資比率が低くなり過ぎるリスクを避けるため、広告もやはり必要なのだと言っています。

次回も、PARとBARの関係を掘り下げていきたいと思います。

(by インディーロム 渡邉修也)

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