マーケティング再入門 
「包摂を意識したマーケティングとは・その3」

「排除することが目標だった時代は終わり、包摂がゲームの新しい名前になっている。」

「ソーシャルメディアは社会的包摂を促進し、人々にコミュニティへの帰属意識を与えている。」

いずれも「コトラーのマーケティング4.0」の中で「社会的包摂」について書かれたコトラーの見解です。

この本が出版されたのは2017年のことですが、それ以降の世界の情勢をみると、米国のトランブ政権、イギリスのEUから離脱、そのほか多くの国々で勢力を増している排外主義など、最初にあげたコトラーの言葉とは裏腹な方向へ向かっているように思われます。

しかし、コトラーが書いていること、また、この連載で取り上げていることは2~3年の情勢のことを語っているわけではなく、もう少し時間の尺度を大きくとった5年後、10年後、15年後を想定していることを、まずは確認しておきたいと思います。

日本でもこの春から5Gサービスがスタートしますが、IT技術の進展により、人々の「接続性」は年々高まっています。

「今日の社会の接続性からして、社会的同調のウエイトが全般的に高まっている。」

これもコトラーの同じ本の中の一節ですが、「社会的同調」という言葉は、最初に紹介した文脈の中では肯定的な意味合いで使われています。

接続性の高まりは、よい方向での社会的同調を促進することもあれば、そうでない社会的同調を増大させることもあります。

このシリーズの中で、「包摂」や「社会的包摂」を考えようと思った理由はまさにそこにあります。

マーケティングにかかわる人は、マーケティング施策を通じて少なからず社会に影響を与えています。「包摂」や「社会的包摂」を常に意識しながら様々な施策を考えていくのと、そうでないのとでは、5年後、10年後の社会のあり方が変わってきます。目先のマーケティング成果も大切ですが、よりよい未来に向けた布石を打つべきなのです。

現在の日本には、沢山の問題が山積されています。少子高齢化、労働力不足、ジェンダー・ギャップ、外国人労働者の受け入れとそれにともなう社会構成員の多様化、AIによる労働のあり方の変化、格差と貧困、等々。

見渡してみると分かる通り、既存のやり方を踏襲するだけでは解決できないものばかりです。問題解決の思考のベースに「排除」を据えるのか、「包摂」や「社会的包摂」を据えるのか、これは政治的立場や思想・信条を超えて取り組むべきことであるのは火を見るよりあきらかで、ご理解いただけると思います。

(by インディーロム 渡邉修也)

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