マーケティング再入門 
「包摂を意識したマーケティングとは・その1」

「包摂都市 ー多様な住民を受け入れる都市ー というコンセプトは、通常、持続可能な都市のよい手本とされる」(「コトラーのマーケティング4.0」より)

日本においても「社会的包摂(Social Inclusion)」という用語が、ここ10年ほどの間に、政府の政策文書などにも頻出するようになりました。

例えば、2016年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」の中でも、「社会的包摂」という用語がたびたび登場します。(これは、菊池桃子氏が政府の有識者会議の席で、「"一億総活躍"という表現は分かりづらい、むしろ"ソーシャル・インクルージョン"の方がすっきりと説明できる」という意見を述べ、その後、政府の文書に積極的に取り入れられるようになったという経緯があるようです。)

そもそも「包摂」とは、また「社会的包摂」とはどのような概念なのでしょうか?

「包摂」とは、一つの事柄をより大きな範囲の事柄の中にとりこむこと(「大辞林」より)です。また、和英辞典では「包摂」には「subsumption」が当てられています。(包摂、包含「研究社「新英和中辞典」」

一方、「inclusion」は、包含、包括、算入、中に含まれるもの、含有物。あれれ?、思っていた「包摂」という言葉の意味とは何かずれるなぁと思います。

なぜ、「包摂」単独だと「subsumption」で、「社会的包摂」になると「inclusion」になっちゃうのでしょうか?

これについては、菊池桃子氏の説明の元ネタの1つと考えられる日本学術会議の包括的社会政策に関する多角的検討分科会が、2014年に発表した提言「いまこそ『包摂する社会』の基盤づくりを」には、以下のように説明されています。

「社会的包摂(Social Inclusion)は、社会的排除(Social Exclusion)と対になる概念である。二つの概念は、1970年代にフランスに発祥し、その後、ヨーロッパ諸国を始め、欧州連合、国際連合などの国際機関において社会政策の基礎的な理念として確立してきた。」(上記、提言より)

社会的排除というと人種や国籍などによる差別のようなものを想像する人のいるかもしれませんが、フランスにおいては、ニートや若年層の失業者、障がい者など幅広い対象者を含めた広義の格差社会の問題を表す用語として、「社会的排除(ソーシャル・エクスクルージョン)」という用語が使われいたそうで、その後、そうした排除(エクスクルージョン)を生み出さない社会、負の連鎖をくい止めるプラス方向の概念として「社会的包摂(Social Inclusion)」という言葉が使われるようになったようです。

「包摂」は、今後の社会のあり方を考えていく際にとても重要なキーワードになってくると考えられます。社会のあり方の変化は、当然、それに対応していく企業のマーケティング活動にもつながってくるものなので、これから数回に分けて「包摂」、「社会的包摂」とマーケティングの関係について考察してみたいと思います。

(by インディーロム 渡邉修也)

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