マーケティング再入門 
「新興国マーケティングから日本を考えてみる・その5」

「貧しい消費者は価格が安ければどんなものでも飛びつくわけではない。信頼されているブランドを高く評価するのである。それゆえ、ブランドは社会のアイコン(象徴)でなければならない」(「コトラーのマーケティング3.0」より)

アイコンとは、どのようなものなのでしょうか?

「アイコンとは、消費者が自分の願望や欲求に対処するために採用する、特別な種類のストーリーを象徴するもの」であり、とりわけ「貧しい人びとにとっての願望や欲求は、自分の暮しを向上させる機会となるもの」ということです。

SBE(ソーシャル・ビジネス・エンタープライズ)の目的や役割には、単に低所得消費者にも購入可能な手頃な価格を実現することだけでなく、所得創出の機会の提供ということが求められます。

コトラーは「真のSBEと、一般的な社会的責任を果たす企業やNGOとの違いは、SBEがピラミッドの最底辺に起業家精神を生み出すことによって、長期的な解決策を提供するという点だ」としています。

「人びとにただ魚を与えるのではなく、魚の獲り方を教えること」が肝要なの だということです。

途上国においては低所得消費者が対象となりますが、恐らく、日本やEUのような成熟期にある国々で、かつ、経済格差が拡大しつつある場合には、SBE的なコンセプトや「価値観」を持つ企業による、より幅広い層に対する所得創出の取り組みが求められるようになるのではないでしょうか。

コトラーは、マーケティングと価値との関係について、以下のような3つの発展段階があるとしています。

初期段階では、マーケティングと価値は分離している状態です。多くの経営者やビジネスに携わる人びとは、マーケティングを効率と利益の最大化のための科学的の手法の一つと捉え、事業の目的や目標に「崇高な価値」を据えるようなことは、むしろ余計なコストがかかるだけで(たとえ対外的に企業理念として掲げていたとしても)、実のところは必要のないものと考えています。

第二段階は、コトラーが「平衡状態」と呼ぶ段階です。企業は「マーケティング2.0」的な手法を駆使し、事業収益の最大化を目指します。そして、利益の一部を社会的コーズ(大義)のために寄付をします。(これはこれで素晴らしいことだと思います。)

第三段階として「統合段階」に至ります。企業は、最初に「価値」を掲げ、その価値に従って企業活動を行います。コトラーは「価値が、企業にパーソナリティと目的を与える」と言います。価値に従って企業活動を行うため、価値と実際のマーケティング活動が食い違ったり乖離することはありません。

最初に「価値」を掲げ、魚の獲り方を教え、起業家精神を喚起し、協働していくこと。最初に「アイコン」的企業になるにはどうしたらよいのか、という問いを立てるのではなく、「価値」を追求する企業活動に対する評価として「アイコン」と見なされるようになる、ということなのでしょう。

(by インディーロム 渡邉修也)

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