マーケティング再入門 
「新興国マーケティングから日本を考えてみる・その1」

消費者主導のマーケティング2.0から、価値主導のマーケティング3.0を提唱する「コトラーのマーケティング3.0」の中に「振興市場における起業家の創造」という章があります。

途上国や新興国が貧困状態から脱出するには、少数の富裕層が頂点にいて多数の貧困層が分厚い底辺部を占めるピラミッド型から、貧困層が中間層へ押し上げられたダイヤモンド型へ移行しなければならないこと。

貧困を解決するためには、貧しい人びとに魚を与えつつ、魚の獲り方を教えないような「先進国による対外援助」よりも、実際に事業ネットワークを有している企業による「投資と起業家精神の振興」であるべきだ、と指摘しています。

「コトラーのマーケティング3.0」が書かれたのはリーマンショックの前後で、日本語版が出たのは2010年のことですが、当時は、この章を対岸の話題として読んでいましたが、2020年になろうとする今読み返してみると、経済格差が拡大し、分厚かった中間層がとりくずされ貧困に近い層の増加が予測される日本において、今後、価値主導のマーケティングを志向していく際のヒントが見つかりそうな気がします。

というわけで、今回から数回は、コトラーが新興国におけるマーケティングについて書いたものを、これから日本で起こるかもしれない事態に向けた対応策を考えるための材料として読んでみたいと思います。

まず、魚を与えつつ魚の獲り方を教えない「対外援助」ということを、日本に当てはめて考えてみたいと思います。

少々強引かもしれませんが、「新興国・途上国」を、「地方」、「中小・零細企業」に置き換えてみると、「対外援助」に当てはまるのは、「地方交付金」、「助成金・補助金」というものが頭に浮かびます。

こうした"国内向けの援助"はそれなりに今後も必要だとは思いますが、国の財政状況を見ればわかる通り、いつまでももらい続けられるものでもありません。

また、仮に国に余裕があっても、地方は地方で、小さな企業は小さな企業なりに、自らの力で「自立」していかなければなりません。

江戸時代の日本は、いまよりも経済力は乏しかったはずですが、各藩は幕府側から藩としての財政的な自立を求められ、赤字が続くとお取りつぶしになりかねなかったため、新田開発や名産品開発など産業振興と、財政健全化に必死に取り組みでいたようです。

コトラーの新興国マーケティングの中の「投資と起業家の創造」を、江戸時代の各藩では新田開発や名産品開発ということで実践していたわけです。

次回は、「コトラーのマーケティング3.0」の中から、新興国における投資と起業家の創造についての具体的な方法論について復習しつつ、その中から日本の地方や小さな企業に適用できそうなところを探してみたいと思います。

(by インディーロム 渡邉修也)

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