マーケティング再入門 
「これからの商品・サービスの開発・その13」

コトラーは「マーケティング3.0」の中で「マーケティングは、もはや単なる販売やツールを使った需要の創出とみなされるべきではない」「企業のミッションやビジョンや価値に組み込まれた意味をマーケティングすべきである」と主張しています。

そして、コトラーは、マーケティング3.0/4.0を目指す企業は、ミッション、ビジョン、価値の3つと、マインド、ハート、精神の3つを掛け合わせた「価値ベースのマトリックス(VBM)モデル」として、会社全体を再定義すべきだとしています。

この考え方は、新しい事業を立ち上げる場合にもおいても有効だと思われます。これら3×3の要素のうち、今回は「ビジョン」についてのコトラーの省察を復習してみます。

コトラーは、マーケティング3.0における優れたミッションを生み出す発想の鍵として、ボディショップの創業者アニータ・ロディックの言葉「Business as Unusual(普通でないビジネス)」をあげています。

「Business as Unusual(普通でないビジネス)」とは、「消費者の生活を変えるような新しいビジネス観を打ち出すこと」です。

そのためには「戦略的先読み力(strategic foresight)」と呼ばれる「ケイパビリティ」を経営者や起業家が持っている必要があるとコトラーは言います。

ケイパビリティについては、経営学方面のビジネス書などでは「ビジネスで優位性のある組織的な能力」「企業が全体として持つ組織的な能力」というように、組織としての能力の意味で使われること多いわけですが、コトラーの上記の文章では、経営者や起業家が備えているべき「能力=capability」として使われています。

コトラーは「マーケティング3.0」の中で、デイとシューメーカーによる「グローバルに互いにつながった経済下では、世界のある部分でおきた小さな変化が、大きな変化をもたらすことがある」という「バタフライ効果」と、そうした現代におけるリーダーは「意識を研ぎ澄ましたリーダー」であるべきという彼らの主張を紹介しています。

「意識を研ぎ澄ましたリーダー」とは、組織の内部に目を向ける執行リーダーでなく、「新しい発見を進んで受け入れ、外部のものを積極的に取り入れる姿勢をもったリーダー」「鋭い注意力を持ち、小さな情報に基いてリスクの高い行動をとる用意のあるリーダー」ということです。

こうしたリーダーは、見方によっては 「合意がされていない」つまりは「儲かるかどうか分からないもの」に対し大胆な決定を下せる自己陶酔的性格を持つリーダーでもあるとしつつも、コトラーは、ここでもピーター・ドラッカーの「事業は優れたミッションから出発しなければならない」という言葉を引き、そうしたリーダー像を肯定的に捉えています。

「戦略的先読み力」とも呼ばれている能力ですが、マーケティング3.0/4.0企業というのは、トップだけでなく、社内のあらゆる階層の現場リーダーたちが「戦略的先読み力」と「Business as Unusual(普通でないビジネス)」の発想(少なくともスピリット)を持ち、日々の仕事に取り組んでいるような企業なのだと思います。

(by インディーロム 渡邉修也)

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