マーケティング再入門 
「これからの商品・サービスの開発・その9」

フィリップ・コトラーが、インドネシアのコンサルティング会社マークプラス社のヘルマワン・カルタジャヤ、イワン・セティアワンたちと、マーケティング3.0の概念の取りまとめに着手したのは、2005年のことだったそうです。実際に、それが本としてまとめられ、世界的なベストセラーになったのは2010年のことでした。

ご承知の通り、その間に、世界はリーマンショックを経験し、コミュニケーションの手段は、携帯電話での直接の会話から、スマートフォンとSNSの台頭により短文メッセージでのやり取りへと変化しました。

電話と異なるのは、複数の人々が1つの話題について相互に意見交換し、ごく僅かな時間の間で、そこに居合わせた(アクセスした)人々の間での合意形成が行われるということです。これは、SNSをやっている人であれば、誰しもが最初は驚き、良し悪しは別として、今ではそれが当たり前のことになった、と感じていることだと思います。

コトラーたちは「マーケティング3.0」の中で、「マーケッターは、もはや自社ブランドを完全にコントロールすることはできない、消費者の集合知と競争しなければならない」という状況認識を示し、すぐそのあとに、これからの時代のマーケティングは、集合知と競争するのではなく、消費者と協働し、ともに製品やサービスを生み出す「共創」を行っていくべきだとしています。

これをもって、マーケティングは第3の段階へ入った(入るべきだ)としたわけです。

<マーケティングの進化>

  • 第1期:取引志向。どのように販売するか。
  • 第2期:関係志向。どのように顧客に継続購入させるか。
  • 第3期:協働・共創志向。消費者に、製品開発やコミュニケーションにいかに参加してもらうか。

(「コトラーのマーケティング3.0」より抜粋)

スマートフォンやSNSの普及によって、消費者はもはや孤立した個々人ではなく、互いにつながっています。モノを買ったり、サービスを利用する際にも、昔のような「無知な消費者」ではなく、即座に情報収集し、知り合いに意見を求め、よりよい消費行動ができるようになっています。(もちろん、SNSのスピード感の中で、他人の意見に振り回され、衝動買いしてしまう場面も増えています。)

コトラーは、このような段階までくると、消費者の中から、単に受け身ではなく、企業に対して積極的に有益な情報を提供しようという消費者が少なからず出現してくると指摘しています。

消費者との協働は、企業側が消費者の声を真摯に傾聴することからスタートし、製品やサービスを共創することを通じて、消費者が価値創造の中心的な役割を担うようになるのが理想ということです。

このような協働の成功事例として、P&Gが、リサーチ&ディベロップメントから、コネクト&ディベロップへ転換し、成果をあげていることが紹介されています。

P&Gのコネクト&ディベロップは、世界中の起業家や供給業者から斬新で革新的な製品アイデアを提供してもらうイノベーション・プログラムであり、コトラーたちが「マーケティング3.0」を書いた当時で、既に売り上げの35%を占めるようになっていたそうです。

(by インディーロム 渡邉修也)

アンケートメーカーPro

アンケTouch

DISCUS