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マーケティング再入門 
「販売促進の考え方・その2」

販売促進は、その施策内容によって、ブランドの価値を高めることもできますし、損なってしまうことあります。

一般に、価格プロモーションの場合は低下することが多く、付加価値プロモーションについては高まる場合とそうでない場合に分かれるようです。

価格プロモーションでの消費者向けの値引きやクーポン券の配付、流通業者向けの無料サンプルや各種インセンティブ等は、短期的な販売量増加には効果が期待できますが、長期的にはブランド力を下げる方向に作用します。

新ブランドや弱小ブランドが、市場へのくい込みやシェア獲得にために価格プロモーションを行うのは意味がありますが、それが常態化してしまうと安売りブランドのレッテル貼りを、自ら行っているようなことにもなりかねないので、さじ加減が大切です。

ある調査によれば、1,000件の価格プロモーション事例の中で、実際に費用に見合う利益が出たのは、16%しかなかったいうことです。(「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント第12版」より)

一方、上位ブランドにおいても、下位ブランドの値引き攻勢に対抗して、時折、価格プロモーションを行うことも必要です。

長期的にみれば、広告に加え、状況に応じて価格プロモーションや流通業者向けの施策をフレキシブルに使い分けることができ、体力に勝る上位ブランドの方が総じて優位に戦うことができます。弱小ブランドの淘汰を狙った価格プロモーションは、ある意味、攻めの施策とも言えます。

しかし、冒頭に書いたように、価格プロモーションが常態化することは、ブランドの価値を下げてしまうため、いくら上位ブランドで体力があるといっても、価格プロモーションの頻発は良策ではありません。

コトラー&ケラーの本の中でも、「有名なブランドが年間30%以上の期間、プロモーションを実施することはリスクがある」としています。

30%の根拠は明らかにはされていませんが、プロモーションを頻発することで、もともとロイヤリティがそれなり高かった顧客であっても、値引き販売や何らかのキャンペーンが実施されている時しか買わなくなるという状態におちいる危険性があり、その先にはブランド力の低下が待っているからでしょう。

また、成熟した市場の場合は、価格プロモーションを行ったとしても、市場全体の規模が拡大するわけではありません。上位ブランドにおける価格プロモーションは、あくまで局所的・短期的な防衛的施策であり、本質的な攻めの施策にはなりません。

上位ブランドに求められるのは、下位ブランドをモグラ叩きのように叩き続けることではなく、カテゴリーの市場規模を拡大するような施策、市場リーダーとしての自覚ある施策が求められるということでしょう。

次回は「できるだけブランド価値を下げないような販売促進とは、どうあるべきか?」を、もう少し具体的に考察してみようと思います。

(by インディーロム 渡邉修也)

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