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マーケティング再入門 
「コミュニケーションの制作と管理・その1」

今回から広告やPRなどの実際的なコミュニケーション・プログラムを作成・管理していく際の要点について復習していきたいと思います。教科書的に参考にするのは、やはり「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」です。

マーケティング・マネジャーは、広告等のコミュニケーションの制作に際して、次の5つの決定を行っていきます。

<5つのM>

  1. ミッション(Mission):広告目的の設定。一定期間において、標的視聴者に対して達成されるべき特定のコミュニケーション・タスク
  2. 予算(Money):目的達成に必要となる予算を決め、媒体別に配分する
  3. メッセージ(Message):調査結果に基づき、標的視聴者に対して最適化されアピール度の高いメッセージ
  4. 媒体(Media):標的視聴者に最適化された媒体のミックス
  5. 評価(Measure):上記1~4が適切であったかどうか評価し、改善点を見い出していく

最初の「ミッション」つまり「広告目的の設定」では、売上目標とか、標的視聴者の中で何パーセントのブランド認知度を獲得するか等、出来るだけ数値目標が設定されていた方が、5番目の「評価」において達成度が明確化されます。

2番目の「予算」については、そのブランドが新発売なのか、既にある程度の認知度があり、購買へつなげるために背中を押してあげるのが目的なのかなど、製品ライフサイクルの段階や市場シェアなどに応じて、施策と媒体にかける予算が異なってきます。

3番目のメッセージについては、標的視聴者に最適化されたメッセージ内容になっているのか、入念にチェックしていく必要があります。

メッセージ内容は、勘や経験に頼るのではなく、きちんとアンケートやヒアリングを行い、裏付けを取っていく必要があります。

ただし、単に調査結果をなぞっただけでは、競合他社と似たような提案になってしまい、差別化には至りません。

購買者側の視点や気持ちに寄り添い、共感してもらい、「買いたい」と思ってもらうにはどうしたらよいでしょうか?

USP(Unique Selling Proposition)という用語があります。

意訳すると「グッとくる売り文句」といったところでしょうか。「お客様が買いたいという気持ちになるような、他社にはない独自性や魅力のある提案」といった意味合いで、マーケティングやコンサルティングで使われることが多いようです。

「ご満足いただけなければ、返金します」といった売り文句はよく見かけますが、1997年、アップルにジョブスが戻ってきた時に掲げた「Think different」は、グッと来る度が高く、気持ちを揺り動かす、芯のあるメッセージでした。

(by インディーロム 渡邉修也)

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