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マーケティング再入門 
「サービスを再考してみる・その6」

サービスの4つの特性(無形性、不可分性、変動性、消滅性)について、4回に分けて考察してきましたが、今回は最後の「消滅性」についてです。

<消滅性>

サービスは蓄えておくことができません。「いつ、どこで、誰が、誰に」ということに紐づけられる要素が多いからです。

ホテル・旅館業では、そうした要素が占める比重が大きく、繁忙期と閑散期の需要の変動に悩まされ、苦労することが多いと思われます。

桜、紅葉など自然に依存するものは、人の力ではなかなか変えることができないわけですが、祭りやその他のイベントは、人がやっているものなので、その気になれば、多少の平準化は可能です。

徳島では、8月の阿波踊りに加え、2008年から11月下旬に「秋の阿波踊り」というのをやっています。越中八尾のおわら風の盆は、本来9月1日~3日の3日間だけのお祭りですが、近年は8月20日頃から10日間ほど前夜祭という名目で踊りや唄を披露し、需要の分散化、平準化に取り組んでいます。

観光分野の平準化策で最も有名かつ成功しているのは「京の冬の旅」キャンペーンです。

京都の観光ピークは紅葉と桜のシーズンであり、その間の冬は閑散期となります。京都市やJRグループ(当時は国鉄)では、この閑散期対策として、1967年から「京の冬の旅」キャンペーンをスタート。以来50年にわたって毎年1月から3月中旬にかけて実施しているものです。

お寺や神社の協力を得て、普段は入れない場所や見ることができない仏像などの限定公開など、魅力ある企画により人気が定着。かつて3.6倍あった繁忙期と閑散期の観光客数の差は、今では1.5倍未満まで縮小されたそうです。

ついつい観光地の平準化策の方に話しがそれてしましたが、ピークとオフの平準化に取り組むべきなのは、観光業や運輸業だけではありません。

飲食店などでは、ピーク時とそれ以外の時間帯の差をいかに縮めていくのか?ピーク時に、お客様の満足度を下げずに、いかに人員を抑えることができるのかが課題となります。

パッと思いつくものとしては、ビュッフェ形式にしてセルフサービスの要素を採り入れる方法がありますが、それがベストだとは限りません。それによって客席の回転率が下がってしまう可能性もあるからです。

私がよく利用するお店では、ビュッフェで、テイクアウトも出来るサービスをやっています。入口でテイクアウト用の容器を受け取り、その容器に盛れるだけ盛って持ち帰ることが出来るのです。店内でビュッフェで食べるお客様の分は回転率は低下していると思いますが、テイクアウトの方である程度カバー出来ているのではないでしょうか。(あくまで想像ですが・・・)

(by インディーロム 渡邉修也)

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