マーケティング再入門 
「ポジショニングの復習・その3」

ポジショニング作業の出発点は、「カテゴリー・メンバーシップ」を特定することです。

カテゴリー・メンバーシップとは、ブランドの競争相手や、代替される可能性のある製品・サービスを特定することです。

代替される製品・サービスというとピンと来ないかもしれませんが、例えば、500円のワンコインで食べられるファーストフードのポジショニングを考える場合、競争相手となるのは、同業他社だけでなく、ハンバーガーショップ、牛丼店、立ち食いそば店、コンビニの弁当など、ワンコインで食べられるあらゆる業態を、カテゴリー・メンバーシップと見なし、各々の類似点連想、相違点連想を検証していく必要があるということです。

コトラー&ケラーの「マーケティング・マネジメント」では「適正な競争枠を決定するためには、消費者の行動と、消費者がブランド選択で利用する考慮集合を理解しなければならない」としています。

競争枠とか、考慮集合とか、なんだか七面倒くさい感じがするかもしれませんが、カテゴリー・メンバーシップをきちんと考えることで、目の覚めるようなマーケティング戦略の切り口を見いだすこともあります。

コトラー&ケラーの上記の本の中に、面白い成功事例が紹介されています。

本格志向の冷凍ピザのディジョルノ・ピザは、広告の中で、パーティーに来た客が主人にどこの宅配ピザを利用したのか尋ねるシーンを設定し、主人にこう答えさせます。「宅配ではありません。ディジョルノです」と。

この広告で、ディジョルノ社の売上が急拡大したのだそうです。

繰り返しになりますが、ポジショニング作業の中で重要なのは自らのブランドの立ち位置を確認することに留まらず、消費者の「マインド内」の、どのポジションに、どのように配置し、定着させるかということです。

この話で面白いのは、冷凍ピザのカテゴリーの中で、差別化をやみくもにしようとせず、宅配ビザという別のカテゴリーにポンと置いたことで、宅配ビザにするか、ディジョルノにするか、という新たな選択肢(つまり「考慮集合」) を消費者のマインドに植え付けたこと。さらには、宅配ビザと同じ土俵で語ることで、他の冷凍ピザとの差別化を一挙に行ったことです。

ポジショニングの話で必ず出てくる、カテゴリー・メンバーシップ、類似点連想、相違点連想という要素が、シンプルかつ効果的にマーケティング戦略に表現された好例だと思います。

(by インディーロム 渡邉修也)