マーケティング再入門 
「ポジショニングの復習・その2」

前回は、「ポジショニングは製品に対して行うものではない。見込み客のマインドに対して行うものである」という、アル・ライズの言葉をご紹介しました。

今回は、マインドに対して、どのようにアプローチするのかという点を、もう少し掘り下げてみようと思います。

アル・ライズは、「ビジュアルはハンマーであり、言葉は釘である」と言っています。

アル・ライズによれば、マーケティングは「言葉」によって成り立っており、コンセプト開発、ポジショニングの策定、プランニング、メッセージの設定など、終始一貫して「言葉」を使って、論理的に構築されていくべきだとしています。

しかし、「燃費がよくて」「故障が少なく」「安全性能も高く」「値段も手頃」といったファミリーカーのコンセプトがあったとしても、これらをキーワードをそのまま広告で列記しても、他社との差別化は難しいでしょう。ファミリーカー市場の中で、そのブランドが、確固としてポジションを消費者に印象づけるにはキーワードの列記だけは難しいということになります。

映画やドラマを観ていて、ありきたりなストーリーなのに、思わず感動の涙を流してしまうことがありますが、そのことから分かるように、コンセプト部分が単純であっても、ビジュアルを使うことで相当な印象を与えることが可能なことが分かります。

先の「ビジュアルはハンマーであり、言葉は釘である」という言葉は、低燃費とか、安全といったキーワード(釘)を、ビジュアルハンマーを通じて、消費者のマインドに打ち込むことも可能だ、ということです。

別の言い方をすれば、自社の製品・サービスの広告宣伝を検討していく際には、キーワードだけでは不十分で、一歩踏み込んでビジュアルを使ったアプローチを考えていかなかれば、なかなか印象には残らず、成果も上がりにくいということでしょう。

ビジュアルを使ったポジショニングの成功例として特に有名なものとしては、たばこの「マールボロ」があげられます。

「マールボロ」は、女性向けのフィルター付きのたばことして開発されたそうで、1924年の発売開始当初は、「Mild As May」というキャッチフレーズで売り出したものの、全くといって売れなかったそうです。

その後、1960年代になってマーケティング戦略を変更。「マールボロ・カントリー」のキャッチフレーズととも、荒野を馬で行くカウボーイのビジュアルにしたことで大成功を収めるわけです。

今回は、マーケティングにおいては言葉はとても重要だけれども、それを広告宣伝に展開する際には、消費者のマインドに残るような、キャッチフレーズやビジュアルが大切という話でした。それでは、また次回もポジショニングの復習をしていきたいと思います。

(by インディーロム 渡邉修也)