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マーケティング再入門 
「市場の細分化を復習する・その3」

前回は、市場の細分化をしていく際の基本的な変数として、「地理・地域」「デモグラフィック」「サイコグラフィック」「行動・態度変数」などがあることを復習しました。

それぞれ重要な変数となりますが、“日本国内の個人消費財”に話しを限定する場合には、やはり「デモグラフィック」による細分化が基本中の基本となるでしょう。

デモグラフィック変数となるのは、性別、年齢、家族構成、所得、職業、社会階層、教育水準、国籍、宗教といったものになります。

かつて“一億総中流”と言われてきた時代には、性別、年齢、家族構成、所得、職業などで事足りていましたが、今後、海外からの労働者の受け入れなどが進行したり、日本人の中での経済格差が拡大していくことを考慮すると、社会階層、教育水準、国籍、宗教もマーケティング分析の際の欠かせない変数となってくると考えられます。

また、デモグラフィックには、上記のプロフィールのほか、ライフサイクルとライフステージという要素も加わります。

ライフサイクルは、習い事をはじめる未就学児~小学校低学年、習い事に加え中学進学などが意識されはじめる中・高学年、中学、高校、大学・専門学校、就職といった、多くの日本人が年齢とともに歩んでいくであろう過程とそれを経済的に支え、実際に消費の担い手となる親世代の行動を分析していくことになります。

ライフステージの方は、もっと個別の状態、つまり、同棲中、結婚生活、離婚、再婚、親の介護、マイホーム購入、子どもの誕生など、人生の局面や節目となります。

ライフステージが変化する時は、大きな商機となります。一説によると、新婚の夫婦が結婚式直前から結婚直後6か月の間に、新婚でない家庭の数年分の金額を集中的に消費すると言われています。なので、ブライダル情報をキャッチすることは、結婚式場だけでなく、ファッション、ギフト、美容、不動産、自動車、旅行、家電、保険など、幅広い業界にとって大きな商機となるわけです。

また。ここ数年、エンディング・ノートが流行っておりますが、ノートを書くことを手伝うことは、家族構成、財産、健康状態など、その人と家族のデモグラフィックのほか、趣味、志向、考え方まで分かるわけですから、シニア対象のビジネスにとっては最強のプロファイリング・ツールということになります。

こうした情報は、従来は弁護士や信託銀行など、ごく一部の職業・業種でしか関わってこなかった領域となりますが、どこまで情報を収集してよいのかという倫理面、情報の管理体制などが問いただされていくことになるでしょう。

(by インディーロム 渡邉修也)

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