統計・世論調査を読む 
「21世紀成年者縦断調査」から・その1

皆さん「21世紀成年者縦断調査」という調査をご存じでしょうか。この調査は、厚生労働省が、平成14(2002)年から毎年実施しているもので、昨年12月に現状における最新版の平成23(2011)年版の調査結果が公表されました。

今回から、2~3回に分けてこの調査を見ていきたいと思いますが、中身を見る前に、調査名称の中の“縦断調査”という用語について、ちょっと触れておきたいと思います。

社会調査の用語の中には、「横断調査」と「縦断調査」と呼ばれるものがあります。
「横断調査」とは、1回の調査で、男女別、地域別、年齢別など回答者を分類し、調査対象となる集団の実態や意識など把握しようとするものです。英語では、cross-sectional studyと呼ばれます。

対して「縦断調査」は、1回限りではなく、一定の間隔をおいて繰り返し行う調査のことを言います。英語では、longitudinal studyです。longitudinalを辞書でみると「経線の」「縦の」と出ていますが、英語でも、日本語でもあまりピンとくる名称ではありませんね。

「縦断調査」は、さらに、「動向調査(傾向分析)」、「集団調査(コーホート分析)」、「パネル調査」の3種類に分けることができます。

「動向調査」とは、調査エリアや回答者の条件などを決めて、定期的に調査することで、調査対象となる集団の動向や傾向を把握しようとするものです。
例えば、都内の高校生を対象に性行動と意識の調査を毎年実施する場合、「都内の高校生」という調査対象となる“集団”の条件は変わらないものの、実際に回答する高校生は毎年1学年ずつ入れ替わります。

「集団調査(コーホート分析)」の「コーホート(cohort)」を、辞書でみると「同時出生集団などの群」とあります。分かりやすい例で言うと、団塊ジュニア層に対して、中学、高校、大学、社会人と毎年繰り返し調査を行うことで、彼らの意識や行動が変化していく様子を把握する調査などになります。ちなみに、コーホート分析の場合は、“同時期に生まれた人々”ということが重要とされ、誰に回答してもらったかは重要ではありません。団塊ジュニアであれば、毎年に違う回答者に回答してもらってもよいわけです。

対して、「パネル調査」の方は、毎回、同じ回答者にアンケートをお願いする追跡調査になります。今回ご紹介する「21世紀成年者縦断調査」は、このパネル調査になります。

この調査がスタートした平成14年10月末時点で20~34歳であった男女とその配偶者たちを対象に毎年調査を行い、追跡していったものです。

平成14年の第1回目は、回答者数は27,890名でしたが、平成23年の第10回目では12,062名になっています。これは、10年の間に調査に協力してくれる人の数が徐々に減っていったためとみられます。

また、スタート時に20~34歳だった対象者は、当たり前ですが、第10回目には、29歳~43歳になっています。

調査内容は、仕事の有無、配偶者の有無、夫の家事・育児の分担状況、独身者の結婚意欲、家庭観、子どもをもつ意欲など。

次回は、10年間でどれだけの変化があったのか、データを見ていきたいと思います。

(by インディーロム 渡邉修也)