アンケート再入門 
「第22回 自由回答について・その1」

前回は、パブリックコメントと統計調査は何か違うのかということを書きました。今回は、本来のアンケートの集計の話に戻ります。

今回は、自由回答の設問を、どのように扱い、とりまとめていくべきかということを考えてみたいと思います。

まず、設問の流れについてですが、いきなり自由回答で意見を求めるのは、やはり避けた方がよいと思います。

例えば、TPPへの参加の是非を問う世論調査を実施したとします。

<Aさんの自由回答>
「条件が満たされるなら、TPPには参加してもよいと思う。ただし、日本の農林畜産業は守らなければならない。医療・福祉なども現在と同等かそれ以上の水準が確保されるという条件だ。しかしながら、今のところ、野田政権からはそうしたことを約束するような話は一切出ていないようだ。」

うーん、これは果たして、参加に賛成なのでしょうか、反対なのでしょうか。

「条件が満たされるなら、TPPに参加してもよいと思う」と書いてあるから、てっきり「賛成」なのかと思ったら、文章の途中から雲行きが怪しくなります。
農林畜産業を守れとか、医療・福祉のレベルを保てとか、そんな条件つけたらTPPなんて参加できるわけないじゃん、といったことを言い出し、あげくの果てに、野田政権に約束まで要求しています。

自由回答というものは、このような「条件つきの賛成」が多いんです。実際に、調べたわけではないのですが、恐らく、日本人の場合は、条件付きの賛成というのが多いのではないでしょうか。

人の意見を、真っ向から否定するのではなく、一応「条件付きで」とりあえず認める。あるいは、一応の理解を示す。だけれども、よくよく話を聞いていくと、どうやら完全に同意しているわけではない、ようだと・・・。

これはやっかいです。

こうした事態、つまり結局どっちの意見なのか分からなくなるのを防ぐためにも、選択肢式の設問を、自由回答の設問の前に持ってくるべきです。

<選択肢式の設問例>
あなたは、TPPに日本が参加することに賛成ですか反対ですか?

○ 賛成  
○ 反対  
○ どちらともいえない

このような選択肢式の設問をを入れるだけで、その後に続く自由回答の結果を整理し、取りまとめるのがかなり楽になります。
この場合は、上記3つの選択肢ごとに、自由回答の意見を選り分けていけばよいわけです。迷う必要はありません。

ちなみに、選択肢を作る際に、「条件付きで賛成」、「条件付きで反対」という選択肢を追加したら、どうなるでしょうか?

この連載を読んでいただいている方なら、もうお分かりですね。「どちらともいえない」という回答から、「条件付きで賛成」へ票が流れます。

そして、マスコミの報道では、「賛成」と「条件付きで賛成」が足し合わされて、「賛成が○○パーセント」と報じられるわけです。
これが、世論調査で票の集まり方を誘導する基本テクニックです。

ちなみに、「条件付きで反対」も増えるはずだという意見があるかもしれませんが、ごく僅かです。

だって、「条件付きで反対」って、一体どういうことなんでしょうか?

この選択肢は、「条件付きで賛成」を加える時に、見た目上のバランスを取るために配置されているに過ぎません。

ああ、脱線している間に紙数が尽きてしまいました。次回は、自由回答の内容コツコツ読み取っていく時の話に戻りたいと思います。

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(by インディーロム 渡邉修也)