アンケート再入門 
「第17回 最近の世論調査から」

前回、前々回と、アンケートのストーリー(=筋立て)や、選択肢の数・内容で結果が変わってくることや、アンケート自体の性格が、調査目的から情報伝達や広報宣伝にも変化しうるということをご紹介しました。

今回は、この1週間で発表されたマスコミ各社の世論調査をネタとして、質問や選択肢の内容が、いかに結果に影響を及ぼしているのか見ていくことにしましょう。

<野田内閣の支持率>
           支持する  支持しない
産経・FNN世論調査    26.9%  62.1%
日本テレビ世論調査   27.1%  58.2%
朝日新聞世論調査    26%   53%
JNN世論調査       32.7%  65.9%
報道ステーション世論調査   25.5%  50.3%
NHK世論調査       29%   53%
新報道2001世論調査   28.6%  65.2%

ここで注目したいのは、野田政権を「支持する」という回答が30%を超えている「JNN世論調査」です。

ちなみに、各社の質問文を比較すると、「あなたは野田内閣を支持しますか?」という、ほぼ同じような質問をしています。

JNN以外の6つの調査では、「支持する」「支持しない」の「2択」でたずねていますが、JNNの場合は「4択」でたずねています。

JNN世論調査の詳細は、以下の通りです。
 非常に支持できる    1.9%
 ある程度支持できる   30.8%
 あまり支持できない   46.7%
 まったく支持できない  19.2%
(答えない・わからない)  1.4%

前々回のこのコラムの中でも、過去の内閣支持率調査において、選択肢の数が2択と4択とは、4択の方が支持率が上がりやすい傾向があると書きましたが、ここでもそうした傾向が見受けられます。

また、選択肢の「表現(=言い回し)」でも回答の分かれ方が変わってきます。

“非常に”とか、“まったく”という表現が使われていますが、多くの日本人の場合は、概して極端なものを避ける傾向がありますから、支持にしても、不支持にしても、“ある程度”とか、“あまり”というやんわりした表現の選択肢に回答が吸い寄せられていくことが、容易に想像されます。

<消費税を2段階で10%へ引き上げる政府案について>
            賛成   反対
産経・FNN世論調査    40.6%  56.1%
日本テレビ世論調査   33.5%  57.9%
朝日新聞世論調査    39%   51%
JNN世論調査       45%   54%
報道ステーション世論調査   37%   55%

「賛成」が33.5%と低くなった「日本テレビ世論調査」の質問文は、「社会保障と税の一体改革に向けて、消費税率を、2014年4月から8%に、2015年10月から10%に引き上げる法案の国会審議が始まりました。野田内閣は、いまの国会で成立させたい方針です。あなたは、この方針を支持しますか、支持しませんか?」という言い回しをしてます。

“野田内閣は、いまの国会で成立させたい方針です”という一文が挿入されていることに注目してください。

いずれ消費税アップは必要だと思うが、景気のことを考え先送りにした方がよいと思っている人たちや、もう少し議論をつくすべきと思っている人たちが、反対票に回っている可能性は高いと思います。

一方、「賛成」が45%と多くなった「JNN世論調査」の質問文は、「政府が国会に提出した消費税増税法案にもとづいて消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げることにあなたは、賛成ですか、反対ですか」となっています。

こちらの方は、増税法案が提出されたものの、それが今回の国会で成立するかどうかといったことには触れていません。

法案が提出されることと、成立することとは別問題と捉え、将来的には必要と考えている人の幾分かが賛成に回っている可能性も考えられます。

また、先程の内閣支持率と同様に「JNN世論調査」が4択であることも、「賛成」が多くなった要因とも考えられます。(賛成/どちらかと言えば賛成/どちらかと言えば反対/反対)

<原発の再稼働について>
            賛成   反対 
産経・FNN世論調査    51.5%  43.6%
日本テレビ世論調査   27.1%  58.2%
朝日新聞世論調査    29%   54%
JNN世論調査       36%   55%
報道ステーション世論調査   35%   48%

ここで際立った数字なのは、「産経・FNN世論調査」の「賛成」51.5%です。

他社が、福井県の「大飯原発」の具体名をあげて、再開の是非をたずねているのに対して、「産経・FNN世論調査」では、「電力不足なら安全が確認された原発は再稼働させてもよいと思いますか?」としています。

大飯原発という具体的な判断対象を挙げていないこともありますが、“電力不足なら”“安全が確認された原発”という2重の前提をつけていることも、51.5%という高い数字を生み出している要因と思われます。

どうですか、以上は、あくまで私のデータの読み方ですから、皆さんの読み方とは、異なるかもしれませんね。いずれにしても、世論調査は複数比較してみた方がよいこと、数字だけでなく、質問文のニュアンスも含めて見た方がよいことは、分かっていただけたかと思います。

<“アンケートメーカー”ご案内サイト>
http://enqmaker.jp/

(by インディーロム 渡邉修也)